文部科学大臣杯第57回全日本大学女子ソフトボール選手権大会
結果
優勝:金沢学院大学(初) 準優勝:東北福祉大学
3位:中京大学・IPU環太平洋大学
最優秀選手賞:田畑七海(金沢学院大学) 優秀選手賞:新井真奈(東北福祉大学)
大会概要
大会記録長 川辺 まり子
第57回全日本大学女子ソフトボール選手権大会の開かれた愛知県安城市は、市制70周年を迎えた節目の年であり、コロナ感染症による中止を挟んで4年連続3回目の開催となりました。台風14号の近づく中での大会となり、九州を中心とした大雨の多大な影響が報道されており、大会が順調に行われるか見通せない状況でのスタートとなりました。
この大会は、コロナ感染症により様々な規制の中で学生生活を送ってきた最終学年の選手にとって、大会が中止になって卒業していった先輩たちの姿も見てきたことでしょう。声を出しての応援を規制されチーム一丸となって大会に臨めなかったこともあったでしょう。今年は規制のある中ではありましたが、会場に応援する学生たちの大きな声が響き渡り、活気の戻ったような大会と感じました。選手だけではなく、大会に関わる学生たちによる会場の一角に各チームを紹介するチーム写真や応援メッセージなど、工夫を凝らして大会を盛り上げようとする温かい心遣いも感じました。
初日の1回戦は、雨に悩まされる時間帯もあり、最終試合は点灯試合になりましたが、どの試合も1点を争う好ゲームが多く、関西大学対東北福祉大学と淑徳大学対太成学院大学は延長8回を戦い抜きました。
第2日目は、前日夜から降った雨で試合開始が遅れるなどしましたが、多くの大会関係者により試合を進めることが出来ました。途中雨風が強く中断もありましたが、2回戦と準々決勝を予定通り終えることが出来ました。2回戦では、連覇を狙う園田学園女子大学が日本女子体育大学に1-2で敗れる波乱もあり、また、IPU環太平洋大学が延長9回の末東京女子体育大学を辛くも下し準々決勝に進みました。3年ぶりに頂点を目指す日本体育大学は序盤に試合を決め中京学院大学を下しました。
準々決勝の頃には雨はやみましたが、台風の影響で強い風が吹く中で行われました。金沢学院大学は二人の投手で日本女子体育大学を完封で下し、中京大学は初回の1点を継投で守り抜き日本体育大学を下しました。東北福祉大学は日本文理大学と0-0で迎えた延長8回にサヨナラ勝利を収め、IPU環太平洋大学は東海学園大学に初回5点を挙げて快勝し、ベスト4が出そろいました。なお、このベスト4にはこれまで大学女子ソフトボール界を牽引してきた東京・近畿・関東各地区の古豪・強豪と言われるチームが1チームもありませんでした。過去にはなかったことです。新しい時代の始まりかもしれません。
大会3日目は台風の影響で順延となり、迎えた第4日目は、台風一過で天気も回復しました。しかしグラウンドは水が浮いた状態で試合開始を2時間遅らせて開始されました。
準決勝、金沢学院大学対中京大学の試合 は、金沢学院大学が3回表1番遠藤の四球と2番本村の左前安打で出塁すると、このチャンスに3番河原が期待に応え右越本塁打で3点を挙げて試合を決めました。中京大学は6回裏に代打中川と1番繁田の連打で1点を返すにとどまりました。一方の東北福祉大学対IPU環太平洋大学の試合では、東北福祉大学が再三得点圏に走者を進めていましたが、なかなかタイムリーが出ずに硬直した試合展開が続きました。しかし東北福祉大学、5回表二死から1番和田の四球と2番鈴木の安打を足掛かりに4番関谷の中前2得点打につながり、均衡を破り決勝進出を決めました。IPU環太平洋大学も7回裏に4番田村の二塁打で反撃を狙いましたが、後続を断たれ敗退しました。
決勝は、初優勝を狙う金沢学院大学と13年ぶりの優勝を狙う東北福祉大学との戦いとなりました。金沢学院大学は、2回から毎回安打を放ち走者を出し、足を絡めた攻撃を試みるも東北福祉大学新井投手の好守備もあり、あと1本が出ず息詰まる展開が続きました。誰もが延長を覚悟したであろう最終回に無死から6番長谷部が内野安打で出塁すると、7番中尾が初球で送りバントを決めました。次打者の8番江藤に監督から檄が飛びすべてが託されました。1-1から放った打球はレフト前に、二塁走者の長谷部も好スタートを切り一気に本塁へ。劇的なサヨナラ優勝に歓喜の輪が出来ました。強い気持ちで優勝を目指してきた選手の顔には笑顔が輝いていました。
今大会での金沢学院大学は、中邨・山下・田畑・福田の4投手が5試合合計1失点という安定した投手陣で優勝に貢献したと感じました。
準優勝に終わった東北福祉大学は、金沢学院大学の中邨投手から4番関谷が放った1安打に抑えられて惜敗しました。この思いは後輩に引き継がれて、次年度以降に実を結ぶことを心から期待します。
最後に、今大会が天候に不安を抱えて行われましたが、多くの大会関係者、学生たち、安城市のご協力で無事全日程を終えられたことに心から感謝し、コロナ感染症対策に万全の態勢で大会を支えてくださった方々にお礼申し上げます。これからも、見ている人に感動と元気を与えられる大会でありますよう、お祈りいたします。