文部科学大臣杯第56回全日本大学女子ソフトボール選手権大会
結果
日時:2021年11月10日水)〜11月12日(金)
会場:愛知県安城市総合運動公園ブライトペガサススタジアム・野球球場(各2球場)
第56回全日本大学女子ソフトボール選手権大会記録3号.pdf (トーナメント表)
第56回全日本大学女子ソフトボール選手権大会記録4号.pdff (イニングスコア等)
結果:優勝 園田学園女子大学(5年ぶり8回目)
準優勝 IPU・環太平洋大学
第3位 東海学園大学、東京女子体育大学
最優秀選手賞 飯島 綾香(園田学園女子大学)
優秀選手賞 土井 彩香(IPU・環太平洋大学)
大会概要
全日本大学女子ソフトボール選手権大会(以下、女子インカレと称する)は、大会第1日目の11月9日(火)が雨天順延となり、翌10日~12日(金)の3日間にわたり、日本ソフトボール界最高のソフトボール専用球場である安城市総合運動公園ソフトボール場、愛称「デンソーブライトペガサススタジアム」を主会場に公園内の4球場を使って2年ぶりに開催された。昨年度、半世紀を超えるインカレ史上初めて中止となったが、本年度は昨年、涙を飲んで卒業していった先輩たちの想いも背負った大会であったこともあり、文字通り熱い戦いが繰り広げられた。
本大会は当初8月27日(土)~29日(日)の開催予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大会前日の8月24日に正式に延期を決定した。直前の延期決定で各方面に多大な迷惑をかけることになったがそこまでの経緯を記しておきたい。新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は3月21日をもって緊急事態の終了が公示された。その後4月23日に再び緊急事態宣言が発出されたが、全国一律ではなく対象となる地域が示され、愛知県は6月20日をもって解除され、21日以降、まん延防止等重点措置の対象となった。安城市は重点措置対象区域外であったが、万一の事態を想定して会場の確保等は進めていたものの平日開催による実施しか方法がなく、練習会場や駐車場などのハード面の問題に加え、大会運営に必要不可欠な審判をはじめとした競技役員、補助員をどのように確保するかといったソフト面の問題が最も大きなネックとなっていた。特に補助員に関しては大会に出場しない東海学連所属大学のソフトボール部員にお願いをしていたが授業日である平日に参加させてよいかが非常に難しい判断となっていた。一時は参加大学から補助員を出すことも考えたが、チームによって部員数に違いがあること。大会進行に伴って滞在チームが減少すること。競技進行のための補助員だけでなく、それ以上の感染対策要員が必要となることなどを考えると絶対数の不足が想定され、延期は難しいということであった。そのため、この段階では安城市、安城市ソフトボール協会等の関係団体とも協議した上で、大会は予定通り開催の方向で進めていく方針であった。その後、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の再発出が現実的な問題となる頃にようやく、競技役員の確保に加え、補助員を担当して下さる星城大学、至学館大学、岐阜協立大学から学生派遣の許可を得ることができ、平日開催実施可能となったことから、日本ソフトボール協会とも連絡・連携した上で、延期の決定を下すことができた。その直後の8月27日から愛知県全県が再度緊急事態措置の対象地域となることが発表されるというまさに綱渡り的な判断をせざるを得なかったのである。
こうした経緯を経て開催に漕ぎつけた本大会の決勝戦は、園田学園女子大学vsIPU・環太平洋大学の第52回広島インカレ決勝以来の対戦となった。園田学園女子大学にとっては第51回鹿児島インカレ優勝以後、準優勝が続いていたその雪辱を晴らす機会となり、一方のIPU・環太平洋大学にとっては初優勝した52回大会以後、久々の決勝進出に燃えた試合となった。
試合は3回裏にIPU・環太平洋大学が死球で出た走者を3番女鹿田、4番田村の連続安打で還し、1点を先制した。しかし、すかさず4回表に園田学園女子大学が4番小西の中前安打で足場を作ると5番竹内、6番平岡の連続本塁打で3点を挙げ、続く5回にも2番中川の内野安打から、またしても3番藤森、4番小西の連続本塁打で3点を追加した。さらに6回には四球と2つの敵失で1点を追加し、7対1と園田学園女子大学が大きくリードを奪った。逆転を許したIPU・環太平洋大学であったが、園田学園女子大学飯島投手の緩急をつけた投球にタイミングが合わず、2回以降得点を奪えぬまま最終回を迎えたが、代打武田の安打、敵失を挟み2死一・二塁から2番斎藤の左中間を破る三塁打で2点を返し、粘りを見せるも反撃もここまで、7対3で園田学園女子大学が4大会ぶり(昨年度中止のため5年ぶり)8回目の優勝を飾った。点差は開いたものの両チームのきびきびとした試合運びは、点差を忘れさせるほど引き締まった試合となり、決勝戦に相応しいゲームだったと言えよう。
また、第3位となった東京女子体育大学、東海学園大学も準決勝では決勝戦に進出した2校とがっぷり四つに組み合い、それぞれ1点差の惜敗で力の差を感じさせない好チームであった。
他にもIPU・環太平洋大学と最後まで勝敗の行方が分からない熱戦を演じた日本体育大学、その日体大とタイブレイクまでもつれた東北福祉大学、東海学園大学と壮絶な打撃戦を展開した太成学院大学、園田学園女子大学にサヨナラ負けを喫するも昨年度の選抜大会を制した中京大学などが目についた。
さらに、昨年の選抜大会に引き続き今大会も、UNIVAS(一般社団法人大学スポーツ協会)のご協力により、全試合をLIVE配信することができた。昨年以上の多くの視聴者の方に画面を通して観戦していただけたのは、大学ソフトボールの魅力発信、さらには活性化にもつながったのではないかと思う。
以上のような素晴らしい面も多かった一方で、新型コロナウイルス感染の収束が見えない中での大会であったため、主管協会と大学連盟は様々な工夫と労力をかけ、でき得る限り最大限の感染対策を行って大会を運営したが、残念ながら、大学連盟が定めた『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策,対応,対処ガイドライン第3版』や出場校連絡会議や監督会議で示された感染対策の順守が不十分の甘い部分もみられた。特にガイドラインすら読んでいないのではないかと思われるチームや選手がいたのは残念でならない。
こうしたチームや選手の行動が大学連盟や大学ソフトボールそのものの信頼を失することに気づいていただきたいと強く思う。同時に新型コロナウイルスの感染状況によっては、今後も不自由な大会運営となることも考えられるが、そうした時こそ、選手一人一人が大学ソフトボールを担っているという自覚と誇りをもって行動していくことが必要ではないかと考えている。
最後になりましたが、本大会を開催するにあたり、愛知県、安城市の自治体や地域の皆様、UNIVAS関係者の皆様、公益財団法人日本ソフトボール協会関係者の皆様、そして、試合会場で献身的に動いていていただいた愛知県ソフトボール協会、安城市ソフトボール協会関係者の皆様、星城大学、至学館大学、岐阜協立大学女子ソフトボール部員の各位には本当にお世話になりました。皆様のお力添えにより無事大会を終了することができましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。